2025.12.20
【徹底解説】リハビリテーション学部で取得できる国家資格一覧|PT?OT?STの違いと将来性

「リハビリテーション学部に進学したら、どんな国家資格が取得できるのだろう?」――受験生やその保護者が抱く代表的な疑問のひとつです。
近年、高齢化や在宅医療の広がりにより、リハビリ専門職の需要はますます高まっています。
大学のリハビリテーション学部では、理学療法士(PT)?作業療法士(OT)?言語聴覚士(ST) という三大国家資格の取得を目指すのが一般的です。外围体育投注_必威体育app官网|手机版リハビリテーション学部もその一つで、理学療法学専攻と作業療法学専攻を設置。いずれも国家試験受験資格が得られ、2023年度はPTで合格率100%、OTで95.8%という高い成果を残しています。
これらは、身体機能の回復や生活支援、さらには言葉や飲み込み機能の改善といった異なる専門領域をカバーしています。さらに義肢装具士や視能訓練士など、リハビリ関連資格を学べる大学も存在します。
この記事では、リハビリテーション学部で目指せる国家資格の種類や特徴、外围体育投注_必威体育app官网|手机版の具体的なカリキュラムや就職実績を交えながら、進路選びのヒントをわかりやすく整理します。
1. リハビリテーション学部とは?学べる内容と役割

リハビリテーション学部は、病気や外傷、高齢化によって日常生活に困難を抱える人々を支援する専門職を養成する学部です。
学びは段階的に「基礎 → 専門 → 実習」と進み、最終的には国家資格を取得して現場で活躍することを目指しています。
1-1. リハビリテーション学部の基本概要
リハビリテーション学部は、医療系学部のひとつで、国家資格取得を前提とした教育課程が組まれています。
学部内は、理学療法士?作業療法士?言語聴覚士といった専門職を育成するための専攻や学科に分かれているケースが一般的です。
入学直後は基礎科目(解剖学、生理学など)からスタートし、学年が上がるにつれて専門性の高い内容に移行します。
最終的な目的は「国家資格の取得」と「即戦力となる医療人材の育成」であり、医療チームの一員として社会に貢献できる人材の育成が目指されています。
1-2. 学べる専門分野(基礎医学?臨床実習など)
リハビリテーション学部での学びは、大きく次の3ステップに分けられます。
- 基礎科目:解剖学?運動学?心理学など人体と心を理解する科目
- 専門科目:理学療法評価学、作業療法学など、専攻に直結する専門分野
- 実習科目:病院や施設での臨床実習。外围体育投注_必威体育app官网|手机版では地元医療機関との連携により、地域密着型の学びが実現しています
このような体系的な流れにより、学生は「知識を得る」だけでなく「現場で応用する力」を身につけることができます。
1-3. 医療?福祉現場で求められるリハビリ職の重要性
リハビリ職は、「患者が自分らしい生活を取り戻す」ために欠かせない存在です。
医師が診断や治療を担い、看護師がケアを行うのに対し、リハビリ職は「生活機能そのものの回復」を中心に支援します。
特に日本は高齢化率が29%を超える社会であり、退院後も介護施設や自宅で療養生活を送る人が増えています。そのため、理学療法士?作業療法士?言語聴覚士の役割は年々大きくなっており、さらにスポーツリハや発達支援、就労支援など新たな分野でも活躍の場が広がっています。
こうした背景から、リハビリテーション学部は「安定した将来を築きたい」と考える高校生や保護者にとって、注目度の高い進学先のひとつと言えるでしょう。
2. リハビリテーション学部で取得できる代表的な国家資格

リハビリテーション学部に進む大きな目的のひとつは、卒業と同時に国家試験の受験資格を得て、医療や福祉の専門職として社会に羽ばたくことです。なかでも核となるのが次の三資格です。
- 理学療法士(PT)
- 作業療法士(OT)
- 言語聴覚士(ST)
いずれも患者の回復や生活の質の向上に直結する重要な資格ですが、対象とする機能や支援のアプローチはそれぞれ異なります。ここでは、それぞれの特徴を整理してみましょう。
2-1. 理学療法士(PT)の特徴と専門性
理学療法士(PT:Physical Therapist)は、人の「動く力」を回復?維持することを専門とする国家資格です。
脳卒中の後遺症で歩行が困難になった方、骨折後のリハビリを必要とする患者、スポーツ外傷から復帰を目指す選手、高齢により筋力が低下した方などが主な対象です。
大学ではまず解剖学や運動学といった基礎を学び、その後リハビリ評価や歩行訓練などの技術を習得します。さらに臨床実習では患者一人ひとりの状態を観察し、運動療法や物理療法をどう組み合わせるかを考えながら、実際にプログラムを立案?実施する力を身につけます。
2-2. 作業療法士(OT)の特徴と対象領域
作業療法士(OT:Occupational Therapist)は、生活そのものに必要な力を回復?維持する専門職です。たとえば「食事をする」「服を着る」「家事を行う」といった身近な動作に加え、仕事や趣味、学校生活など、日常や社会活動全般を支援の対象とします。
対象となるのは身体に障害を持つ方にとどまりません。発達に課題を抱えるお子さんや、精神疾患によって社会参加が難しい方なども含まれます。大学では作業療法学や精神医学を学び、実習では患者の生活環境や心理的背景を踏まえたリハビリを実践しながら、「その人らしい生活」を支える力を養っていきます。
2-3. 言語聴覚士(ST)の専門性と社会的ニーズ

言語聴覚士(ST:Speech-Language-Hearing Therapist)は、話す?聞く?食べる といった機能に関わる課題を専門的に支援する国家資格です。脳血管疾患の後遺症による言語障害、発達障害で言葉の習得が遅れている子ども、難聴のある人、そして高齢による嚥下障害を持つ方など、対象は多岐にわたります。
大学では言語学や聴覚学、発達心理学など幅広い分野を学びます。実習では発声訓練や嚥下機能の改善プログラムに取り組み、患者に最適な支援方法を実際に体験しながら習得します。
近年は高齢化の影響で誤嚥性肺炎の予防やコミュニケーション支援の重要性が高まり、STの需要は年々増加傾向にあります。将来的にも医療?福祉現場で欠かせない存在として期待されています。
3. 資格取得までの流れと大学での学び
リハビリテーション学部の学びは、ただ講義を受けるだけではありません。国家試験合格と専門職としての即戦力化を目指した体系的なカリキュラムになっています。
高校から大学に進学する際、実際にどのような順序で学んでいくのかを具体的にイメージできると安心です。
ここでは「1?4年次の学修ステップ」「国家試験の概要」「大学のサポート体制」の3点に分けて流れを整理します。
3-1. 1?4年次の学修ステップ(基礎→専門→実習→国家試験)
- 1年次:基礎固め
解剖学?生理学?心理学などの基礎医学を学び、人の体や心の仕組みを理解します。医療人としての基盤を築く時期です。 - 2年次:専門科目へ進む
理学療法評価学、作業療法学、言語聴覚療法学など、専攻に応じた専門分野を履修。専門職として必要な知識を深めます。 - 3年次:演習?シミュレーション
学内での演習や模擬ケーススタディを通して、患者を想定したリハビリ計画の立案?実践練習に挑戦します。 - 4年次:臨床実習と試験準備
病院や福祉施設での臨床実習に参加。実際の患者と関わりながら現場経験を積みつつ、国家試験に向けた学習を本格化します。
このように 「基礎 → 専門 → 実習 → 国家試験」 と段階的に積み重ねる流れが一般的です。はじめて医療分野に挑戦する学生でも、大学のカリキュラムに沿って学ぶことで、自然と国家試験合格に近づけるよう設計されています。
3-2. 国家試験受験資格
理学療法士?作業療法士?言語聴覚士はいずれも「大学で指定のカリキュラムを修了すること」で国家試験受験資格を得られます。
試験の出題範囲は幅広く、
- 基礎医学
- 臨床医学
- リハビリ評価学
- 各治療学分野
などが含まれます。単なる知識だけではなく、臨床場面を想定した応用力や判断力も問われるのが特徴です。
合格率は70?90%前後で推移しており、学年を追うごとに積み重ねてきた学習の成果がそのまま結果に表れるといえます。近年は模擬試験や過去問演習を活用し、「臨床的な思考力」を磨く教育が重視されています。
3-3. 大学でのサポート体制(模試?演習?学習支援)
多くの大学では、国家試験合格に向けたサポート体制を整えています。
- 模擬試験や小テストによる定期的な学力確認
- グループワークやピアラーニングによる学習の定着
- 専任教員による個別指導や質問対応
- 4年次の臨床実習後には「総合演習」や「国家試験対策講座」を設置
こうしたサポートは、単なる試験対策にとどまりません。知識の整理やスキルの定着を通じて、将来現場で活かせる力を着実に育てる役割も果たしています。
4. 国家資格取得後の進路と就職先

リハビリテーション学部を卒業し国家資格を取得すると、医療や福祉の現場を中心に、教育やスポーツ、研究など幅広い分野で活躍の道が開かれます。ここでは代表的な進路を文章で整理しつつ、具体的な就職先を紹介します。
4-1. 病院?クリニック?リハビリ施設
最も一般的な就職先は病院やリハビリ専門施設です。リハビリ職は、急性期から回復期、在宅復帰に至るまで、患者の回復過程すべてに関わります。
- 理学療法士(PT) は運動機能の回復をサポート
- 作業療法士(OT) は食事や着替えといった日常生活動作を支援
- 言語聴覚士(ST) は言葉や嚥下のリハビリを担当
それぞれが専門性を発揮しながら、医師や看護師と連携して包括的なケアを提供します。
主な仕事内容の例
- 総合病院やリハビリ専門病院でのリハビリ業務
- 外来や入院患者の機能回復をサポート
- 患者の病状や生活段階に合わせたケアに携わる
4-2. 介護福祉分野?地域リハビリ
日本社会の高齢化が進むなか、介護や地域でのリハビリニーズはますます高まっています。施設内での支援にとどまらず、生活の場そのものに寄り添う働き方が増えてきました。
主な仕事内容の例
- 介護老人保健施設やデイサービスで高齢者の身体機能維持を支援
- 在宅医療や訪問リハビリで、住み慣れた家での暮らしをサポート
- 地域包括ケアシステムの一員として、高齢者の自立生活を後押し
病院中心の医療から「地域包括ケア」へ移行する流れの中で、リハビリ専門職の役割はより一層大きくなっています。
4-3. スポーツ?教育?研究など幅広いフィールド
リハビリの専門知識は医療や介護の枠を超えて活かすことができます。アスリートのコンディショニングを担ったり、発達支援教育に関わったり、大学院に進んで研究や教育職を目指す人も少なくありません。
具体的な活躍分野の例
- スポーツチームやトレーニング施設でのアスリートサポート
- 特別支援学校での発達障害児の学習?生活支援
- 大学院進学や研究機関での専門研究、教育職への道
特にスポーツリハや発達支援は近年注目度が高く、リハビリ職の新しいキャリアモデルとして広がっています。
このように、リハビリテーション学部で国家資格を取得した人材の進路は実に多彩です。医療?福祉という安定性のある分野でキャリアを築きながら、新しい領域にも挑戦できる点が大きな魅力といえるでしょう。
5. 国家試験の合格率?難易度?将来性
リハビリテーション学部で取得を目指す資格は、いずれも国家試験に合格することが条件です。資格ごとに合格率や学習の負担が異なり、将来性の面でも注目されています。
ここでは「合格率」「学習の難易度」「資格の将来性」に分けて解説します。
5-1. PT?OT?STそれぞれの国家試験合格率
全国的な合格率の目安は以下のとおりです。
- 理学療法士(PT): 毎年およそ80?90%前後の高い合格率
- 作業療法士(OT): 例年70?80%前後で安定
- 言語聴覚士(ST): 年度による変動が大きく、60?75%程度
いずれも比較的高めの合格率ですが、大学の教育体制や学生自身の学習意欲によって結果に差が出るのが実情です。多くの大学では模試や国家試験対策講座を設け、合格を支援しています。
外围体育投注_必威体育app官网|手机版リハビリテーション学部の実績
- 理学療法学専攻:合格率100%(2023年度)、合格率100%(2024年度)
- 作業療法学専攻:合格率95.8%(2023年度)、合格率91.9%(2024年度)
全国平均を大きく上回る結果であり、きめ細やかな学習サポートと徹底した国家試験対策の効果がうかがえます。
5-2. 学習の難易度と必要な努力量
国家試験は「覚えるだけ」で乗り切れるものではありません。
- 試験範囲が広い: 基礎医学から臨床知識までカバー
- 継続的な学習が必要: 特に3?4年次は実習と並行して試験対策を行う必要あり
- 実践的な対策が有効: 過去問題や模擬試験を活用することで出題傾向に慣れる
試験問題の多くは臨床を想定したケース形式で出題されるため、「どのように判断するか」という思考力が重要になります。学内での実習や病院?施設での臨床経験が、そのまま得点力につながるのが特徴です。
早い段階から自分に合った学習法を見つけ、コツコツと積み重ねる姿勢が合格への近道といえます。
5-3. 高齢化社会?医療ニーズの拡大による資格の将来性
リハビリ職の将来性は社会の動きと強く結びついています。
- 高齢化の加速: 高齢者人口の増加に伴い、リハビリ需要は今後さらに拡大
- 地域包括ケアの推進: 病院だけでなく、在宅医療や地域での支援の場が広がる
- 新しい活躍分野: スポーツリハビリ、発達支援、就労支援など多様な分野で活躍可能
リハビリ専門職は「医療チームに欠かせない存在」として、今後も安定した需要が続くと考えられます。とくに理学療法士?作業療法士?言語聴覚士は、生活習慣病の増加や高齢化といった社会課題に直結しているため、将来にわたって必要とされ続ける職種といえるでしょう。
6. その他リハビリ関連の国家資格
リハビリテーション学部で中心となるのはPT?OT?STの三資格ですが、大学によってはそれ以外の国家資格を学べるケースもあります。数は多くありませんが、医療と工学をつなぐ専門職や、視覚?機能支援に特化した資格など、将来的に注目度が高まる分野です。ここでは代表的な資格を3つ紹介します。
6-1. 義肢装具士(PO:Prosthetist and Orthotist)の専門性と学び
義肢装具士は、事故や病気で手足を失った方に人工の手足(義肢)を製作したり、体を支える装具を調整したりして生活機能を補う専門職です。特徴は、工学的な技術と医学的な知識を融合させる点にあります。
患者一人ひとりの体格や症状に合わせ、オーダーメイドで製作するため、細やかな観察力と技術力が求められます。
- 義肢や装具の設計?製作?適合を担当
- 大学ではバイオメカニクスや材料工学を学び、実習で技術を習得
- 医療と工学の両方にまたがる数少ないリハビリ関連資格
「ものづくりが好きで、人の役に立ちたい」というタイプの学生に人気のある資格です。
6-2. 視能訓練士(ORT:Orthoptist)
視能訓練士は、眼科領域における視機能の検査やリハビリを担当します。特に斜視や弱視の子どもに対する訓練、高齢者の視覚リハビリに関わることが多い職種です。リハビリ職の中ではやや専門領域が限られますが、「視覚」という生活の質を左右する重要な機能を扱う点で社会的意義が大きい資格です。
- 視機能検査や弱視訓練を実施
- 医療技術学部に置かれることが多いが、リハビリテーション領域とも関連が深い
- 子どもから高齢者まで幅広い年代を対象に支援可能
6-3. 臨床工学技士
臨床工学技士は、人工呼吸器や透析装置などの生命維持装置を安全に操作?管理する専門職です。直接的にリハビリを行う職種ではありませんが、リハ医療の現場で使われる機器の維持管理や導入支援を担うことで、間接的にリハビリに貢献します。
- 医療機器の操作?点検?保守を担当
- 医学と工学の両方を学び、技術面からチーム医療を支える
- リハ医療が進化するなかで、リハビリ分野との連携も増加傾向
「医療×テクノロジー」の最前線で活躍できる資格として、将来的な需要拡大が期待されています。
7. まとめ|自分に合った国家資格を見極めるポイント

リハビリテーション学部で目指す代表的な国家資格は、 理学療法士(PT)?作業療法士(OT)?言語聴覚士(ST) の3つです。専門分野はそれぞれ異なりますが、共通して「患者の生活の質を高める」という大きな使命を担っています。社会的な貢献度が高く、やりがいを実感しやすい職種といえるでしょう。
さらに一部の大学では義肢装具士や視能訓練士といった関連資格を目指せる専攻も用意されています。
自分の関心や適性に合わせて、進路の選択肢を広げられる点もリハビリテーション学部の魅力です。
資格を選ぶ際には、次の視点を参考にするとイメージしやすくなります。
- 対象となる人や分野で選ぶ
例:身体機能の改善に携わりたい → PT、日常生活や社会参加を支えたい → OT、言語や嚥下に関わりたい → ST - 学びのスタイルで選ぶ
例:運動学やトレーニングに興味 → PT、心理学や生活支援を重視 → OT、発達支援や言語学に関心 → ST - 将来のキャリアで選ぶ
例:病院?福祉施設で安定して働きたい、スポーツや教育現場で専門性を発揮したい、研究職?教育職を目指したい
リハビリテーション学部での学びは、国家試験合格だけではありません。臨床現場で多くの人と関わる中で、人間性やコミュニケーション力も大きく育まれます。
高校生や保護者にとって大切なのは、資格の特徴を理解したうえで「自分がどんな場面で人を支えたいのか」を見極めることです。その選択が、将来のキャリアを切り拓く第一歩につながっていくでしょう。


